「仮想通貨の利益が20万円以下なら確定申告しなくていいんでしょ?」と思っている方は多いかもしれません。実はこのルール、半分正解で半分間違いです。
条件を正しく理解していないと、知らないうちに脱税になっている可能性もあります。仮想通貨の税制は株やFXとは異なる独自のルールがあるため、正確に把握しておくことが大切です。
この記事では、記事執筆時点の税制に基づいて、仮想通貨の「20万円以下ルール」を正しく解説していきます。住民税の扱いや確定申告が必要になる例外ケースまで、しっかり押さえておきましょう。

「20万円以下なら申告不要」の正しい意味
まず結論から説明します。「仮想通貨の利益が20万円以下なら確定申告が不要」というのは、以下のすべての条件を満たす場合に限ります。
1. 給与所得者(会社員・公務員等)であること
2. 給与の年収が2,000万円以下であること
3. 給与以外の所得(仮想通貨を含む)の合計が20万円以下であること
この3つの条件をすべて満たしている場合に限り、確定申告が不要になります。
これは所得税法の「確定申告不要制度」というルールです。条件を1つでも満たさない場合は、確定申告が必要になるため注意しましょう。
よくある勘違い
勘違い1:「仮想通貨の利益」だけで20万円以下
20万円の基準は「仮想通貨の利益だけ」ではなく、「給与以外のすべての所得の合計」です。例えば、仮想通貨で15万円、副業のアフィリエイトで10万円の利益があった場合、合計25万円になるため確定申告が必要になります。
勘違い2:フリーランス・自営業は20万円以下でもOK
このルールは「給与所得者」限定の制度です。フリーランス、自営業、無職の方は、仮想通貨の利益が少額でも確定申告の対象になります。基本的には48万円の基礎控除以下でなければ申告が必要です。
勘違い3:20万円以下なら税金がゼロ
確定申告が「不要」なだけで、税金が「ゼロ」になるわけではありません。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要です。ここを見落としている方が非常に多いため、特に注意しましょう。

住民税は20万円以下でも申告が必要
これが最も重要なポイントです。所得税の確定申告不要制度は、あくまで「所得税」の話であり、住民税にはこの制度が適用されません。
つまり、仮想通貨の利益が20万円以下でも、1円でも利益があれば住民税の申告は必要です。申告先は自分が住んでいる市区町村の役所になります。
「知らなかった」では済まされないため、20万円以下の利益であっても住民税の申告だけは確実に行いましょう。
そもそも「利益」はどう計算する?
仮想通貨の「利益」は、売却価格から取得価格(購入時の価格+手数料)を引いた金額です。日本では仮想通貨の利益は「雑所得」に分類されます。
課税されるタイミング
仮想通貨を日本円に換金した時:売却価格 − 取得価格 = 利益
仮想通貨同士を交換した時:交換時の時価 − 取得価格 = 利益
仮想通貨で商品・サービスを購入した時:使用時の時価 − 取得価格 = 利益
マイニング・ステーキング報酬を受け取った時:受け取り時の時価 = 利益
エアドロップを受け取った時:受け取り時の時価 = 利益
「まだ売っていないから大丈夫」というのは基本的に正しい考え方です。含み益には課税されません。ただし、仮想通貨同士の交換は課税対象になる点には注意が必要です。BTCからETHに交換しただけでも、BTCの含み益に対して税金がかかります。
取得価格の計算方法
仮想通貨を複数回に分けて購入した場合、取得価格の計算方法は「総平均法」と「移動平均法」の2つがあります。
総平均法:1年間の購入総額÷1年間の購入総量で平均取得単価を計算する方法
移動平均法:購入のたびに平均取得単価を再計算する方法
個人の場合、原則として「総平均法」を使います。届出をすれば「移動平均法」も選択可能ですが、一度選択すると3年間は変更できないため、慎重に選びましょう。

確定申告が必要になるケース
以下のケースでは、利益が20万円以下でも確定申告が必要になる場合があります。
年収2,000万円超の会社員:もともと確定申告が必要
2カ所以上から給与を受けている方:もともと確定申告が必要
医療費控除やふるさと納税の還付を受けたい方:確定申告をする場合、20万円以下の所得も含めて申告する必要がある
フリーランス・自営業者:そもそも確定申告が必要
特に注意が必要なのが「ふるさと納税のワンストップ特例を使わずに確定申告する方」です。この場合、20万円以下の仮想通貨の利益も含めて申告しなければなりません。
仮想通貨の税率
日本では、仮想通貨の利益は「雑所得」として総合課税されます。他の所得(給与など)と合算して、累進課税が適用されます。
所得税率(記事執筆時点):
| 課税所得 | 税率 |
|---|---|
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
これに住民税(約10%)が加わるため、最大で約55%の税率になります。仮想通貨で大きな利益を出した場合の税負担はかなり重いのが現状です。
※税制は毎年変更の可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトで確認してください。
節税のポイント
1. 利益を20万円以内に抑える
年末に利益を計算して、20万円を超えそうなら一部の含み損銘柄を売って損失を確定させ、利益を圧縮する方法があります。いわゆる「損出し」と呼ばれるテクニックです。
2. 経費を計上する
仮想通貨の取引に直接関係する費用は経費として計上できます。取引手数料、送金手数料、仮想通貨関連の書籍代、セミナー参加費、損益計算ツールの利用料などが該当する場合があります。
3. 損益計算ツールを使う
取引回数が多いと、手計算は現実的ではありません。CryptactやGtaxなどの損益計算ツールを使えば、取引履歴をアップロードするだけで自動計算してくれます。
4. 法人化を検討する
仮想通貨の利益が大きくなってきたら、法人化して法人税率で課税を受ける方が有利になるケースもあります。ただしメリット・デメリットがあるため、税理士に相談することをおすすめします。

確定申告のやり方
仮想通貨の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで行えます。確定申告書等作成コーナーにアクセスして、画面の指示に従って入力していけば完了です。
必要な情報は、仮想通貨の年間損益(売却益)と、経費がある場合はその明細です。損益計算ツールで出力したレポートがあれば、スムーズに申告できます。
よくある質問(Q&Aコーナー)
Q. 仮想通貨を購入しただけで税金はかかりますか?
A. かかりません。購入しただけ、保有しているだけでは課税されません。売却や交換など「利益が確定した」タイミングで課税対象になります。
Q. 住民税の申告はどうやればいいですか?
A. お住まいの市区町村役所で「住民税の申告書」を提出します。窓口で書類をもらうか、自治体のWebサイトからダウンロードできる場合もあります。
Q. 含み益が大きいのですが、売らなければ大丈夫ですか?
A. はい。含み益には課税されません。ただし、仮想通貨同士の交換は「売却と購入」として扱われるため、交換時に含み益に対する税金が発生します。
Q. 20万円以下でも申告した方がいいケースはありますか?
A. 仮想通貨で損失が出ている場合は、他の雑所得と損益通算できるため、申告することでトータルの税負担が減る可能性があります。
Q. 海外取引所の利益も申告が必要ですか?
A. 必要です。日本居住者は全世界所得に対して課税されるため、海外取引所で得た利益も申告対象になります。
まとめ
- 「20万円以下なら申告不要」は給与所得者限定のルール
- 「給与以外の所得の合計」が20万円以下かどうかが判断基準
- 住民税は20万円以下でも別途申告が必要
- フリーランス・自営業者は金額に関わらず確定申告が必要
- ふるさと納税で確定申告する場合は20万円以下の利益も含めて申告が必要
仮想通貨の税金は複雑ですが、「知らなかった」で脱税になるのは避けたいところです。利益が出たら早めに計算して、必要に応じて確定申告・住民税申告を行いましょう。不安がある場合は、仮想通貨に詳しい税理士に相談するのが確実です。

※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。


