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DeFiの利回りはおすすめできる?高い数字の裏にあるリスクを整理

DeFi・ステーキングで増やす

DeFi(分散型金融)について調べていると、銀行預金とは桁違いの「年率◯%」という数字が目に入ってきます。資産を預けておくだけでこれだけ増えるなら——そう考えたくなるのは自然な反応だと思います。

ただ、この記事では利回りの高いサービスを紹介することはしません。理由ははっきりしています。DeFiの高い利回りは、それに見合う(あるいはそれ以上の)リスクの対価として提示されているものだからです。仕組みを理解しないまま資金を入れると、利回りどころか元本の大半を失うことがあります。実際、そうした事例は今も継続的に発生しています。

この記事で扱うのは、「その利回りはどこから来ているのか」と「何が起きると資産を失うのか」という2点です。ここを理解したうえでなければ、どのサービスを選ぶかという議論には進めません。

ナビ助
ナビ助
高い利回りには必ず理由があるんだ。その理由を説明できないうちは、まだお金を入れる段階じゃないよ。ここは急がないでいこう。

そもそもDeFiとは何か

DeFiは、ブロックチェーン上のプログラム(スマートコントラクト)によって、貸し借りや交換といった金融の機能を自動的に実行する仕組みの総称です。銀行や証券会社のような中央の管理者を置かずに動くことから、分散型金融と呼ばれています。

管理者がいないということは、24時間動き続ける、誰でも参加できるという利点がある一方で、トラブルが起きたときに責任を追及する相手がいないということでもあります。問い合わせ窓口も、補償の制度も、原則として存在しません。

この性質は、金融当局や国際機関からも課題として指摘されています。証券監督者国際機構(IOSCO)は分散型金融に関する政策提言をまとめており、その内容は金融庁のサイトでも公表されています。責任の所在が特定しにくいこと、利用者保護の枠組みが及びにくいことなどが、繰り返し論点として挙げられています。

DeFiの利回りはどこから来ているのか

「年率◯%」という表示を見たとき、まず考えるべきはこれです。利益の原資には、大きく分けて4つのパターンがあります。

1. 取引手数料の分配

交換のためのプールに資産を預けると、そのプールを使って交換した人が支払う手数料の一部を受け取れる、という仕組みです。実際に取引が行われて初めて発生する収益なので、利回りは取引量に左右されます。取引が閑散とすれば、利回りは下がります。

2. 貸出の利息

資産を貸し出し、借りた人が支払う利息を受け取る仕組みです。借り手の需要が高ければ金利は上がり、需要がなければ下がります。これも変動します。

3. 新たに発行されるトークンによる上乗せ

ここが最も注意が必要なパターンです。プロジェクトが自ら発行するトークンを配ることで、表示上の利回りを高く見せている場合があります。

受け取るのが、そのプロジェクトが刷ったトークンである以上、そのトークンの価格が下がれば受け取った価値も下がります。参加者が増えるほど配られるトークンも増え、価格が下落しやすくなるという構造を抱えている場合もあります。「年率数百%」といった極端な数字は、たいていこのパターンです。

4. 他の参加者が支払った資金

実体のある収益源がなく、新しく入ってきた人の資金を既存の参加者への支払いに充てているだけ、という事例も存在します。これは金融の仕組みではなく、破綻を前提とした構造です。新規の流入が止まった瞬間に崩れます。

注意

利回りの原資が説明されていないサービスには、資金を入れないでください。「なぜその利回りが払えるのか」に答えられないものは、答えられない理由があると考えるべきです。

「年率◯%」の表示を正しく読む

表示されている数字そのものにも、いくつか注意点があります。

  • 固定ではなく変動する:多くの場合、その時点の状況から計算された参考値です。翌日には大きく変わることがあります
  • 複利前提の表記がある:受け取った報酬を再投資し続けた場合の年換算値が示されていることがあります。実際にその通りに運用しなければ、同じ結果にはなりません
  • 何建ての利回りか:報酬がトークンで支払われる場合、円換算での利回りはトークン価格に左右されます
  • 手数料が引かれる:ブロックチェーンの利用手数料や、報酬を受け取る際のコストが差し引かれます。少額の運用では、これだけで利回りが消えることもあります

表示されている数字は「そうなるかもしれない」という見込みであって、約束された利回りではありません。ここを取り違えると、判断を大きく誤ります。

ナビ助
ナビ助
銀行の金利と同じ感覚で読むと、まず間違えるんだ。DeFiの「年率」は、天気予報の降水確率くらいの気持ちで受け取るのがちょうどいいよ。
ナビ助
ナビ助
ここからは、実際に資産が消えてしまう道すじの話。読んでいて気が重くなるかもしれないけど、知らないまま入るより何倍もいいんだ。

DeFiで資産を失う5つの経路

1. スマートコントラクトの不具合を突かれる

DeFiはプログラムで動いています。そのプログラムに欠陥があれば、突かれて資金が流出します。監査を受けているプロジェクトでも、被害が発生した例はあります。

この分野の不正流出は継続的に発生しています。2026年上半期の暗号資産のハッキング被害について、調査会社の集計では被害総額がおよそ10億ドル前後(集計主体によって約9.7億ドル〜13億ドル程度と幅があります)、発生件数は過去最多の水準に達したと報じられました。金額の大きさもさることながら、件数そのものが増えているのが近年の傾向です。特に、異なるブロックチェーンをつなぐ仕組みが狙われる事例が目立ちます。流出した資金が戻ってくることは、ほとんど期待できません。

2. 運営による持ち逃げ(ラグプル)

プロジェクトの運営者が、集まった資金を持ち去って姿を消す手口です。匿名の運営チーム、実績のない新しいプロジェクト、極端に高い利回りを提示しているもの——こうした特徴が重なるほど、危険度は上がります。

プログラムに、運営者だけが資金を引き出せる仕組みが仕込まれている場合もあります。コードを読めない立場では、これを見抜くのは現実的に困難です。

3. インパーマネントロス(変動損失)

交換用のプールに2種類の資産を預ける形の運用で発生する、独特の損失です。仕組みを説明します。

プールは2つの資産の比率を自動的に調整しながら交換を成立させます。このとき、一方の資産の価格が大きく動くと、プールの中身は「値上がりしたほうが減り、値下がりしたほうが増える」方向に入れ替わっていきます。結果として、引き出したときの価値が、そのまま持ち続けていた場合を下回ることがあります。

一般に用いられる計算式では、2つの資産の価格比が4倍に開いた場合、単純に保有し続けた場合と比べておよそ20%少なくなるとされています。手数料収入がこの目減りを上回れば結果的にプラスになりますが、下回れば損失です。高い利回りの表示だけを見て参加すると、この部分が計算から抜け落ちます。

4. 規制の枠組みの外にある

DeFiのサービスは、日本の暗号資産交換業の登録を受けていないのが通常です。つまり、分別管理の義務も、利用者保護のための規制も及びません。トラブルが起きても、国内の制度による救済は期待できないと考えてください。

日本の居住者に対して無登録で暗号資産交換業を行うことは違法です。「DeFiの高利回りが使える」といった触れ込みで無登録業者への登録を促す情報には、近づかないようにしてください。金融庁は登録を受けた暗号資産交換業者の一覧を公開しています。

5. 自分の鍵を盗まれる

DeFiを使うには、自分で管理するタイプのウォレットを接続するのが一般的です。そのため、フィッシングサイトに接続してしまう、偽のアプリを入れてしまう、シードフレーズを入力させられる、といった経路で資産を失う事例が後を絶ちません。

また、悪意のあるサイトに承認を与えてしまうと、後から資産を引き出されることもあります。シードフレーズは誰にも教えない、承認の内容を確認するという基本を徹底してください。

ポイント
  • プログラムの不具合による流出は、監査済みでも起こりうる
  • 運営による持ち逃げは、匿名チーム+高利回りの組み合わせで危険度が上がる
  • 2資産を預ける運用には、インパーマネントロスという固有の損失がある
  • 日本の規制の外にあり、トラブル時の救済は期待できない
  • ウォレットの接続と承認が、新たな攻撃経路になる

税金の扱いは、さらに複雑になる

DeFiで得た利益も、当然ながら課税の対象になります。しかも、通常の売買より計算が難しくなります。

記事執筆時点において、個人が暗号資産の取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象となります。給与など他の所得と合算した金額に超過累進税率が適用され、所得税は5%から45%、これに住民税が加わります。

DeFiの場合、次のような場面それぞれで損益を把握する必要があります。

  • 報酬としてトークンを受け取ったとき
  • 受け取ったトークンを別の暗号資産に交換したとき
  • プールに預ける/引き出すときに資産の構成が変わったとき
  • ブロックチェーンの利用手数料を暗号資産で支払ったとき

取引の記録はブロックチェーン上に残りますが、それを日本円換算の損益に落とし込む作業は簡単ではありません。「税金の計算ができないから申告しない」は通用しません。基本的な取扱いは国税庁の暗号資産に関する税務上の取扱いについてで確認できます。判断に迷う場合は、税務署や暗号資産に詳しい税理士に相談してください。

なお、暗号資産の譲渡益を申告分離課税(税率20.315%)の対象とする改正所得税法は2026年3月31日に成立・公布され、関連する金融商品取引法・資金決済法の改正法も2026年7月15日に成立しています。ただし対象は登録を受けた事業者を通じて取引される「特定暗号資産」が想定されており、適用開始は金融商品取引法の改正が施行された年の翌年1月1日から、記事執筆時点では2028年1月1日からと見込まれています。DeFiやDEXでの取引は分離課税の対象から外れ、引き続き総合課税として扱われる可能性が高いと整理されています。制度の詳細は施行に向けて変わり得るため、最新の情報を必ず確認してください。

ナビ助
ナビ助
利回りに目が行くと、税金と記録の手間はどうしても後回しになるんだよね。でも、ここが一番あとから効いてくる部分なんだ。

それでも学んでみたい方へ

ここまでリスクを並べてきましたが、DeFiという技術そのものを否定しているわけではありません。仕組みとして興味深いものであることは確かです。もし触れてみるのであれば、次の点を守ってください。

心得 内容
金額 全額を失っても問題ない額に限定する
優先順位 まずは国内の登録業者で基本を理解してから
ウォレット DeFi専用のウォレットを分け、主要資産と隔離する
接続先 公式サイトはブックマークから。検索広告は経由しない
承認 与えた承認を定期的に確認し、不要なものは取り消す
記録 取引の日付・数量・その時点の価格を残す
情報源 利回りを推す情報より、リスクを説明する情報を優先する

とくに3番目は実務的に有効です。日常的に使うウォレットとDeFi用のウォレットを分けておけば、万一の被害を限定できます。

よくある質問

Q. 利回りが高いDeFiを教えてもらえませんか?

A. この記事では特定のサービスの推奨は行っていません。利回りの数字は短期間で変動しますし、高い利回りを提示しているサービスほどリスクが大きい傾向があります。数字で選ぶのではなく、仕組みとリスクを理解できるかで判断してください。

Q. 監査を受けているプロジェクトなら安心ですか?

A. 監査は品質を高める取り組みではありますが、安全を保証するものではありません。監査を受けたプロジェクトでも資金が流出した事例はあります。監査の有無は判断材料のひとつにすぎません。

Q. ステーブルコインだけを使えばリスクは低いですか?

A. 価格変動のリスクは相対的に小さくなりますが、プログラムの不具合や運営の問題といったリスクは残ります。また、ステーブルコイン自体が想定どおりの価値を保てなくなった事例も過去にあります。

Q. 国内の取引所のレンディングやステーキングとは違うのですか?

A. 大きく違います。国内の登録業者が提供するサービスは、日本の規制の枠組みの中で運営されており、利用者からの問い合わせ窓口もあります。DeFiには、いずれもありません。

Q. 少額なら試してもいいですか?

A. 学習目的で、全額を失っても構わない金額に限るのであれば、判断としてはあり得ます。ただし少額の場合、ブロックチェーンの利用手数料が相対的に重くなり、利回り以上のコストがかかることもある点は理解しておいてください。

Q. 知人からDeFiの運用を勧められました

A. 知人経由の勧誘は、SNS型の投資詐欺でも典型的な入り口です。「代わりに運用してあげる」「必ず増える」といった話は特に危険です。資金を送る前に、消費者ホットライン188などに相談することを検討してください。

まとめ

この記事のまとめ
  • DeFiの高い利回りは、リスクの対価として提示されている
  • 利回りの原資が説明できないサービスには近づかない
  • 表示される年率は変動する見込み値であり、約束された数字ではない
  • プログラムの不具合、運営の持ち逃げ、インパーマネントロスという固有のリスクがある
  • 日本の規制の外にあり、トラブル時の救済は期待できない
  • 税金の計算は通常の売買より複雑になる
  • 触れるなら、全額を失っても困らない金額で、ウォレットを分けて

DeFiは、金融の仕組みをプログラムで置き換えるという意味で、技術としては非常に興味深い領域です。ただ、投資先として見たときには、現時点で一般の方が安心して資産を預けられる環境が整っているとは言いがたいのが実情です。数字の魅力に引かれる前に、その数字がどこから来て、何を失う可能性があるのかを、必ず自分の言葉で説明できるようにしてください。

ナビ助
ナビ助
分からないものには手を出さない。この当たり前を守れる人が、結局いちばん長く続けられるんだ。焦らなくて大丈夫だよ。

※記事執筆時点の情報です。制度・税制・各サービスの内容は変更される可能性があります。最新の情報は金融庁・国税庁および各社の公式サイトでご確認ください。暗号資産の取引はご自身の責任で行ってください。

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