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日本の仮想通貨規制はどう変わる?見直しの最新状況と決まっていないこと

規制・市場ニュース

「日本の暗号資産の規制が緩和される」というニュースを目にする機会が増えました。ただ、実際に法律を追ってみると、緩む部分と、むしろ厳しくなる部分が同時に進んでいるというのが正確なところです。

この記事では、記事執筆時点で成立した法律・決まった制度と、まだ検討や調整の段階にある話をはっきり分けて整理します。SNSでは両者が混ざって語られがちなので、投資判断の前に一度整理しておく価値があります。

暗号資産は価格変動が大きく、投資した資金を大きく減らす可能性があります。制度が整うことと値上がりは別の話です。必ず余剰資金の範囲で、自己責任のもとでご判断ください。

ナビ助
ナビ助
「緩和」って言葉だけ聞くと自由になる感じがするよね。でも中身は「証券並みのルールに引っ越す」って話なんだ。ここ大事。

いま動いている2つの法改正

改正資金決済法(施行済み)

2025年6月に成立・公布された改正資金決済法が、2026年6月1日に施行されました。主な内容は次のとおりです。

  • 仲介業の新設:暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者と利用者を引き合わせる媒介のみを行う「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」が登録制で創設されました
  • 信託型ステーブルコインの裏付け資産:発行額の50%を上限に、元本を毀損しない形での運用が認められました。具体的には満期・残存期間3か月以内の日米国債や、中途解約が可能な定期預金が対象です

仲介業の新設は、他業種の事業者が自社サービスの中で暗号資産取引への導線を用意しやすくなる、という意味では参入のハードルを下げる方向の見直しです。

制度の話を追う前に、暗号資産そのものの仕組みを入門書で押さえておくと、改正の意味がつかみやすくなります。

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金商法への移管(成立済み・施行はこれから)

より大きな変化がこちらです。暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移す改正法が、2026年7月15日に成立しました。法案は同年4月10日に閣議決定のうえ国会へ提出されたもので、施行は2027年中が見込まれています。

ポイントは、暗号資産を有価証券とは異なる金融商品として金商法に位置づけたうえで、利用者保護を充実させるという設計です。主な内容は次のとおりです。

  • 無登録業者への対応強化
  • 発行者等による情報公表(開示)規制の整備
  • 暗号資産交換業者に対する業規制の強化
  • インサイダー取引規制の創設を含む、不公正取引規制の強化

法案の概要は金融庁の法律案説明資料(PDF)で確認できます。

ポイント

インサイダー取引規制の創設は、「規制強化」に分類される項目です。上場承認前の情報などを知って売買する行為が規制対象になり得るため、業界関係者はもちろん、一般の投資家も規制の内容を把握しておく必要があります。

「緩和」と「強化」を並べて見る

方向 内容 状況
参入しやすくなる 仲介業の新設 2026年6月1日施行済み
投資しやすくなる 申告分離課税の新設 制度は成立。適用開始は先(後述)
投資しやすくなる 暗号資産ETFの実現 制度整備はこれから。時期は未確定
厳しくなる インサイダー取引規制の創設 改正法に盛り込み。施行は2027年中の見込み
厳しくなる 情報開示規制の整備 同上
厳しくなる 無登録業者への対応強化 同上

こうして並べると、「緩和」という一語でまとめるのは実態に合っていないことが分かります。正確には「証券市場に近い枠組みへ引っ越し、その中で投資しやすい仕組みを整える」という動きです。

ナビ助
ナビ助
引っ越し先が証券のルールってことは、守られる代わりに守るべきことも増えるってこと。フェアな話だと思うな。

そもそも、なぜ金商法へ移すのか

暗号資産はこれまで、資金決済法という「支払いの手段」を扱う法律の枠組みで規制されてきました。制度が作られた当初は、決済への利用が想定されていたためです。

ところが実際の使われ方は、大部分が値上がりを期待した投資でした。実態と法律の枠組みがずれている状態が続いていたわけです。この点は金融審議会の作業部会でも議論され、2025年12月に取りまとめられた報告を踏まえて、今回の法案づくりが進みました。

投資として使われているのであれば、証券市場と同じように、判断材料となる情報が公表され、不公正な取引が取り締まられる仕組みが必要になります。今回の移管は、その考え方にもとづく整理といえます。

もう一点、実務的な意味もあります。金融商品として位置づけられることで、税制や投資商品の設計を他の金融商品と揃えて議論しやすくなるという効果です。分離課税やETFの話が同時に動いているのは、この土台があるためです。

ナビ助
ナビ助
法律の引っ越しって、それ自体は地味な作業なんだ。でもここが動かないと、税金もETFも前に進まない。土台の話なんだよね。

税制:ここが一番誤解されている

「暗号資産の税金が20%になった」という情報を見かけたことがあるかもしれません。ここは適用開始時期まで含めて理解しないと、確定申告で誤る危険があります。

決まったこと

  • 2025年12月19日に公表された令和8年度の与党税制改正大綱に、特定の暗号資産の譲渡に対する申告分離課税の方針が示されました
  • これを受けた改正所得税法は2026年3月31日に成立・公布され、4月1日に施行されています
  • 分離課税の税率は所得税15%・住民税5%の計20%。これに復興特別所得税が加わります
  • 分離課税が適用された後は、損失を翌年以降3年間繰り越す控除が可能とされています

まだ適用されていないこと

  • 適用開始は金融商品取引法等改正法の施行の翌年1月1日以後とされています。記事執筆時点では2028年1月1日以後の譲渡からの適用が見込まれる段階です
  • したがって、現在の取引で生じた利益は、原則として雑所得・総合課税のままです
  • 対象は国内の登録業者を通じた「特定暗号資産」の譲渡とされており、DEX(分散型取引所)や海外取引所、個人間の取引、マイニング報酬などは適用後も総合課税として扱われる見込みです
  • 適用開始前に生じた損失は、繰越控除の対象になりません

現行の取扱いは国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」で確認できます。実際の申告にあたっては、必ず最新の情報と、必要に応じて税理士など専門家の助言を確認してください。

注意

「もう分離課税だから税金が安い」という説明を前提に取引を勧めてくる相手には注意してください。適用時期を確認せずに判断すると、想定より大きな税負担が生じる可能性があります。

現行の総合課税の計算方法は、暗号資産の税金を扱った解説書でも確認できます。購入の際は、改正の内容を反映した版かどうかも確かめておくと安心です。

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ETFはまだ買えない

金商法への移管が決まったことで、暗号資産をETFなどの投資商品に組み入れる道筋が議論されるようになりました。自民党のブロックチェーン推進議員連盟は2026年6月1日、暗号資産ETFの法的枠組みの整備を求める提言を財務大臣に提出しています。

ただし、これは提言であり、決定ではありません。実現には投資信託制度の整備、保管(カストディ)の方法、価格算定の基準、税務上の扱いなど、詰めるべき論点が残っています。報道では2028年にも解禁される見通しと伝えられていますが、時期は確定していません。

記事執筆時点で、日本国内では暗号資産の現物ETFは販売されていません。「日本でも買える」とうたう勧誘には十分注意してください。

変わっていない部分も押さえておく

見直しが進む一方で、従来からのルールが続いている部分もあります。

  • 交換業者の登録制:国内で暗号資産の売買や交換の仲介を業として行うには、金融庁への登録が必要です
  • 利用者資産の分別管理:利用者から預かった金銭は信託、暗号資産は原則としてインターネットから切り離した形で管理することが求められています
  • 証拠金取引の倍率:国内の登録業者における個人向けの証拠金取引は、レバレッジの上限が定められています。海外業者の高倍率をうたう広告とは前提が異なります
  • トラベルルール:2023年6月1日から、暗号資産の送付時に一定の顧客情報を通知する義務があります
ナビ助
ナビ助
「日本は規制が厳しいから海外へ」って誘い文句、昔からあるんだよね。守ってくれる法律の外に出るってことだから、慎重にね。

利用者として今やっておきたいこと

  1. 使っている業者が登録済みか確認する:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」から登録一覧を確認できます
  2. CARFの届出に対応する:2026年1月1日以後、暗号資産交換業者等と取引をする方は居住地国名等を記載した届出書の提出が必要です。取引所から案内が届いているはずです
  3. 取引履歴を残しておく:税制が変わる過渡期は、いつの取引かで扱いが変わります。年をまたいだ記録の保存が重要になります
  4. 情報の日付を確認する:制度が動いている時期は、古い解説がそのまま残っていることが珍しくありません

取引所から届く年間取引報告書や届出の控えは、年ごとにファイルボックスへまとめておくと後から探しやすくなります。

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不審な勧誘を受けた場合は、警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)、金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)に相談してください。

よくある質問

Q. 結局、いまの税金はどうなっていますか?

A. 記事執筆時点では、原則として雑所得・総合課税です。申告分離課税の制度は成立していますが、適用開始は金商法改正法の施行の翌年1月1日以後とされ、2028年1月からと見込まれる段階です。

Q. 金商法に移ると、何が一番変わりますか?

A. 利用者から見て分かりやすいのは、情報開示と不公正取引の規制です。発行者側に情報を公表する義務が整備され、インサイダー取引規制も創設されます。取引の透明性を高める方向の変化です。

Q. 規制が変わると価格は上がりますか?

A. 断定はできません。制度整備は参加のしやすさに影響する要素ですが、相場は世界の金利動向や市場全体のリスク許容度など多くの要因で動きます。「制度が変わるから上がる」という説明を根拠に判断するのは避けてください。

Q. 海外の取引所を使い続けても問題ありませんか?

A. 日本居住者に対して無登録で勧誘を行う業者は法令違反にあたる可能性があり、トラブル時に日本の制度による救済を受けにくくなります。また、居住地が日本であれば海外での取引で得た利益も申告の対象です。

Q. NISAで暗号資産は買えますか?

A. 記事執筆時点で、暗号資産そのものやその現物ETFはNISAの対象になっていません。将来の制度設計は決まっていないため、対象になると断定する情報には注意してください。

Q. 仲介業が増えると、どんな変化がありますか?

A. 取引所そのものではない事業者が、自社のサービスの中で暗号資産取引への導線を用意しやすくなります。利用者から見ると入り口が増える一方、実際に資産を預ける先はどこなのかを、これまで以上に意識して確認する必要があります。

Q. 改正法が施行される前に取引をやめたほうがよいですか?

A. 施行によって既存の保有分が使えなくなるといった話ではありません。ただし税制の適用時期の関係で、いつ売却したかによって扱いが変わる可能性があります。売買の記録は年ごとに整理して残しておくことをおすすめします。

Q. 制度の最新情報はどこで確認できますか?

A. 金融庁のウェブサイトに、法律案の説明資料や暗号資産に関する利用者向けページがまとまっています。税務は国税庁のサイトが一次情報です。まずこの2つを確認する習慣をつけると、誤情報に振り回されにくくなります。

まとめ

ポイント
  • 改正資金決済法が2026年6月1日に施行。仲介業の新設と信託型ステーブルコインの裏付け資産の見直しが行われた
  • 暗号資産取引を金商法へ移す改正法が2026年7月15日に成立。施行は2027年中の見込み
  • 移管にはインサイダー取引規制の創設や情報開示規制の整備など、強化の側面も含まれる
  • 申告分離課税は制度としては成立済み。ただし適用は2028年1月からの見込みで、現時点では雑所得・総合課税
  • DEXや海外取引所、個人間取引は分離課税の対象外となる見込み
  • 暗号資産ETFは記事執筆時点で国内販売されていない。解禁時期は未確定
  • 登録業者の確認、CARFの届出、取引履歴の保存が実務上の要点

制度が動いている時期は、情報の鮮度がそのまま判断の質に直結します。「いつ決まって、いつから適用されるのか」を必ずセットで確認する。この一手間が、余計な損失やトラブルから自分を守ってくれます。

※投資は自己責任です。必ず余剰資金の範囲で行い、最新の情報は各公式サイトおよび金融庁・国税庁の公表資料でご確認ください。

※記事執筆時点の情報です。制度・税制・サービス内容は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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