「取引所からトークンを送ったのに、MetaMaskの画面に出てこない」。この相談は本当によく聞きます。結論から言うと、多くの場合トークンは無事に届いていて、MetaMaskが表示していないだけです。MetaMaskは世界中のあらゆるトークンを最初から知っているわけではないため、利用者が自分で「このトークンを表示して」と教えてあげる必要があります。
この記事では、MetaMaskにトークンを追加する方法を、コントラクトアドレスの調べ方から順番に解説します。あわせて、トークン追加という作業に潜む偽トークン・詐欺トークンのリスクと、その避け方についてもお伝えします。

なぜトークンを追加する必要があるのか
MetaMaskの画面に最初から表示されるのは、そのネットワークのネイティブ通貨(イーサリアムならETH)だけです。USDTやUSDC、各種プロジェクトのトークンといったものは、それぞれがブロックチェーン上の「コントラクト」として存在しています。
MetaMaskはよく使われるトークンについては自動検出の機能を持っていますが、対応していないものや新しいものは手動での追加が必要です。表示されていないだけで、資産はブロックチェーン上のあなたのアドレスに記録されています。ブロックエクスプローラーで自分のアドレスを検索すれば、その事実を目で確認できます。
まず確認したい3つのこと
- 送金先のネットワークが合っているか(イーサリアムかポリゴンかなど)
- MetaMaskで表示中のネットワークが、そのチェーンになっているか
- ブロックエクスプローラーで、自分のアドレスに着金が記録されているか
この3つを確認して着金が記録されていれば、あとはトークンを追加するだけで表示されます。
コントラクトアドレスの調べ方
トークンを追加するときに要となるのが、コントラクトアドレスです。これはブロックチェーン上でそのトークンを識別するための固有の住所で、「0x」から始まる42文字の文字列になっています。
コントラクトやトークンの仕組みは、ブロックチェーンの入門書で基礎から押さえておくと理解しやすくなります。
調べ方1:ブロックエクスプローラーの取引履歴から
もっとも確実な方法です。Etherscan(イーサリアム)やPolygonscan(ポリゴン)などのブロックエクスプローラーで自分のウォレットアドレスを検索し、該当する着金の取引を開きます。トークンの名前をクリックすると、そのトークンのコントラクトページに移動し、アドレスが確認できます。
自分に実際に届いた取引から辿るので、別のトークンと取り違える心配がありません。トークン追加の際は、この方法を第一の選択肢にしてください。
調べ方2:プロジェクトの公式サイトから
多くのプロジェクトは、公式サイトやドキュメントにコントラクトアドレスを掲載しています。公式のSNSアカウントから公式サイトへ辿り、そこに書かれているアドレスを使います。
調べ方3:情報サイトのトークンページから
CoinMarketCapやCoinGeckoといった情報サイトにも、チェーンごとのコントラクトアドレスが掲載されています。ただし、こうしたサイトには同じ名前の別トークンが並んでいることもあるため、チェーン名と発行元を照合してから使ってください。
SNSのDMやDiscordで送られてきたコントラクトアドレスは使わないでください。有名トークンと同じ名前・同じシンボルを名乗る偽のコントラクトが多数存在し、追加させたうえで詐欺サイトへ誘導する手口が確認されています。

【手順】MetaMaskにトークンを追加する方法
手順1:正しいネットワークに切り替える
トークンを追加する前に、そのトークンが存在するネットワークへ切り替えます。ポリゴン上のトークンをイーサリアムのメインネットで追加しようとしても表示されません。ここを間違えると「追加できない」という状態になります。
手順2:「トークンをインポート」を開く
MetaMaskの資産一覧の下部にある「トークンをインポート」(または「トークンを追加」)を押します。カスタムトークンのタブを選択してください。
手順3:コントラクトアドレスを貼り付ける
調べておいたコントラクトアドレスを入力欄に貼り付けます。正しいアドレスであれば、トークンのシンボルと小数点桁数が自動で読み込まれます。自動入力された内容が想定と違う場合は、アドレスが誤っている可能性が高いので、そこで手を止めて再確認してください。
手順4:内容を確認してインポートする
表示された内容を確認し、インポートを実行します。資産一覧にトークンが追加され、残高が表示されれば完了です。
| 入力項目 | 内容 |
|---|---|
| トークンコントラクトアドレス | 0xから始まる42文字の文字列 |
| トークンシンボル | 自動入力される(USDCなど) |
| トークンの小数点桁数 | 自動入力される(18や6など) |
身に覚えのないトークンが入っていたときの対処法
トークンの追加とは逆に、「勝手に知らないトークンが入っている」という相談も増えています。これは自分で追加したものではなく、第三者が一方的に送りつけたものです。
ダストトークン・詐欺トークンの狙い
送りつけられたトークンには、多くの場合「公式サイトで換金できます」といった案内が仕込まれています。そのサイトに接続してウォレットを繋ぎ、承認(approve)を行うと、ウォレット内の他の資産まで自由に動かせる権限を相手に与えてしまうことになります。
アドレスポイズニングにも注意
取引履歴に、自分がよく送金するアドレスと先頭と末尾がそっくりな偽アドレスを紛れ込ませる手口もあります。履歴からアドレスをコピーして使う習慣があると、間違って偽アドレスへ送金してしまいます。送金先は履歴からではなく、都度確認した正しいアドレスから入力するようにしてください。
- 身に覚えのないトークンは、触らない・売ろうとしない・関連サイトを開かない
- MetaMaskの機能で非表示にすれば、画面から消せる(ブロックチェーン上の記録は残る)
- 「換金できます」「請求してください」という誘導は、承認を取るための入口
- 取引履歴からコピーしたアドレスは、必ず全桁を照合してから使う
こうした手口のパターンは、詐欺の手口を解説した本に一度目を通しておくと気づきやすくなります。

トークンの承認(approve)を見直しておく
トークンを扱っていると、DEXやNFTマーケットで「このトークンの利用を許可しますか」という承認画面に出会います。この承認は一度与えると、こちらが取り消すまで有効なままです。
接続解除だけでは足りない
MetaMaskの「接続済みサイト」からサイトを切り離しても、承認そのものは残ります。切り離しで変わるのは、そのサイトがあなたのアドレスを見られなくなる点だけです。承認を無効にするには、Revoke(取り消し)の操作が別途必要になります。
定期的な棚卸しのすすめ
- Revoke.cashなどの取り消しツールで、現在の承認一覧を確認する
- 使っていないサービスへの承認は取り消す
- 無制限の承認は、必要な額だけの承認に切り替える
- 取り消しにはガス代がかかるので、まとめて実施すると効率的
- 怪しいサイトに接続した心当たりがあるなら、すぐに確認する
DEXやトークン承認の仕組みをもう一歩詳しく知りたい方は、DeFiの解説書も参考になります。
トークン追加でよくあるトラブル
コントラクトアドレスを入れてもエラーになる
表示中のネットワークが違う可能性が高いです。ポリゴンのトークンならポリゴンに切り替えてから追加してください。
追加できたのに残高が0になっている
同名の別トークンを追加している可能性があります。ブロックエクスプローラーの着金履歴から辿り直して、コントラクトアドレスを確認してください。
トークンは表示されたが送金できない
そのネットワークのネイティブ通貨(手数料用)が不足していると考えられます。イーサリアム上ならETH、ポリゴン上ならPOL(2024年9月にMATICから移行した通貨)が少量必要です。古い解説記事ではMATICと書かれていることがありますが、現在のPolygon PoSの手数料はPOLで支払います。
被害に遭ってしまったときの相談先
承認を悪用されて資産が動かされた場合は、早めに相談してください。警察庁の集計では、インターネットバンキングに係る不正送金の被害額が2025年に約103億円と過去最多を更新しており、手口の大半はフィッシングから始まっています。
- 警察相談専用電話「#9110」
- 消費者ホットライン「188」
- 金融庁 金融サービス利用者相談室
- 各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
Q&A:MetaMaskのトークン追加についてよくある質問
Q. トークンを追加するのに手数料はかかりますか?
A. かかりません。トークンの追加はMetaMask側の表示設定にすぎず、ブロックチェーンへの書き込みは発生しないためです。
Q. 追加したトークンを削除すると資産は消えますか?
A. 消えません。表示から消えるだけで、ブロックチェーン上の残高は残ります。同じコントラクトアドレスで再度追加すれば、また表示されます。
Q. スマートフォンアプリでも同じ方法で追加できますか?
A. できます。資産一覧の下部にある「トークンをインポート」から、同じようにコントラクトアドレスを入力する流れです。
Q. 自動検出をオンにすればトークン追加は不要になりますか?
A. 対応しているトークンは自動で表示されますが、すべてを網羅しているわけではありません。また自動検出をオンにすると、送りつけられた詐欺トークンも表示されやすくなる点は理解しておいてください。
Q. NFTも同じ手順で追加できますか?
A. NFTは専用のタブから、コントラクトアドレスとトークンIDを入力して追加します。トークンの追加とは入力項目が少し異なります。
Q. 追加したトークンは他の端末にも反映されますか?
A. 反映されません。トークンの表示設定は端末ごとに保存されるため、別の端末では改めて追加する必要があります。
Q. 取引所から送ったトークンが数時間経っても届きません
A. まずブロックエクスプローラーで送金の取引を検索し、完了しているかを確認します。完了しているのにMetaMaskに出ない場合はトークンの追加で解決します。取引自体が進んでいない場合は、ネットワークの混雑や取引所側の処理待ちが考えられます。
Q. トークンのシンボルが自動入力されないのはなぜですか?
A. 表示中のネットワークが違う、コントラクトアドレスに誤りがある、といった原因が考えられます。アドレスをもう一度ブロックエクスプローラーから取り直してみてください。
Q. 同じ名前のトークンが複数出てきます。どれが本物ですか?
A. 名前やシンボルは重複できるため、判断材料になりません。自分の着金取引から辿ったコントラクトアドレス、またはプロジェクト公式サイトに記載されたアドレスと一致するものが本物です。
Q. 承認の取り消しは自分でできますか?
A. できます。取り消しツールでウォレットを接続し、対象の承認を選んで取り消しの取引を送信します。取り消しにもガス代がかかるため、複数まとめて行うと効率的です。
まとめ:トークン追加は「出どころの確かなアドレス」で
- MetaMaskにトークンを追加するには、コントラクトアドレスが必要
- アドレスはブロックエクスプローラーの着金履歴から辿るのがもっとも確実
- SNSのDMで送られてきたアドレスは使わない
- 身に覚えのないトークンは触らず、非表示にして放置する
- 承認(approve)は接続解除では消えない。定期的に取り消す
- トークン追加自体に手数料はかからず、削除しても資産は残る
トークンの追加は数分で終わる作業ですが、どのアドレスを信じるかという判断が含まれています。安全が保証された追加方法はありませんので、自分の取引履歴と公式情報という2つの確かな出どころを使い分けながら進めてください。

参考:MetaMask ヘルプセンター(日本語)|Revoke.cash(トークン承認の取り消し)|金融庁 暗号資産(仮想通貨)関連
※記事執筆時点の情報です。仕様・画面表示は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトおよび金融庁のサイトでご確認ください。暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証された商品ではありません。投資は自己責任で、必ず余剰資金の範囲内で行ってください。


