「Bybitの登録方法を調べていたら、いろいろな解説記事が出てきた」——検索してここにたどり着いた方は、そんな状況かもしれません。ただ、その多くはかなり前に書かれたもので、いまの状況を反映していない可能性があります。
先に結論からお伝えします。Bybitは日本の暗号資産交換業者として金融庁の登録を受けておらず、さらに日本居住者からの新規口座開設の受付はすでに停止されています。つまり「これから日本に住んでいる人が新しく登録する」という選択肢は、記事執筆時点で事実上なくなっています。
この記事では、登録手順を並べる代わりに、なぜそういう状況になっているのか、法律上どういう位置づけなのか、既存の口座を持っている方は何を確認すべきなのかを整理します。手順よりも先に知っておくべき情報をまとめた内容です。

前提:Bybitは日本の登録業者ではない
日本では、暗号資産の売買や交換をサービスとして提供する事業者は、資金決済に関する法律にもとづき登録を受ける必要があります。同法第63条の2は、暗号資産交換業は内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行ってはならない、と定めています。
登録を受けた事業者は、金融庁が公表している暗号資産交換業者登録一覧に掲載されます。Bybitはこの一覧に掲載されていません。
それどころか、金融庁は無登録で暗号資産交換業を行っている業者としてBybitに対し、これまで3度にわたって警告書を発出しています。時期は2021年5月、2023年3月、2024年11月とされています。
- 日本の法律にもとづく利用者保護の枠組みの外にある
- トラブルが起きても、国内の当局による監督や救済を受けにくい
- 分別管理や補償の仕組みが国内業者と同等とは限らない
- 日本語のサポートやトラブル対応が保証されているわけではない
無登録業者を利用すること自体が利用者側の違法行為になるわけではありません。しかし、何かあったときに「自分でなんとかするしかない」状況に置かれる——これが実務上いちばん重い意味を持ちます。
登録業者と無登録業者の違いを含め、暗号資産の基本を一冊で押さえておくと判断しやすくなります。
日本居住者の新規登録はすでに停止されている
Bybitは日本居住者向けのサービスについて、段階的に取りやめる方針を打ち出してきました。公表されている流れを時系列で整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2021年5月 | 金融庁が無登録での暗号資産交換業について警告(1回目) |
| 2023年3月 | 同じく警告(2回目) |
| 2024年11月 | 同じく警告(3回目) |
| 2025年10月31日 | 日本居住者向けの新規口座開設の受付を停止 |
| 2025年12月22日 | 日本居住者向けサービスの提供終了を発表 |
| 2026年1月22日 | 本人確認レベル2(住所証明)の期限。未完了の場合は日本居住者として扱われる旨が案内された |
| 2026年3月23日 | 日本居住者の口座がクローズオンリー(close-only)へ移行 |
| 2026年7月22日 | 未決済ポジションの一斉強制決済が実施 |
この流れを踏まえると、「Bybitの登録方法」を解説している記事の大半は、この方針変更より前に書かれたものだと考えられます。手順どおりに進めようとしても、日本に住んでいる限り新規の口座開設には進めません。

「本人確認」がここで持つ意味
海外取引所の本人確認(KYC)は、単なる手続きではなく、その利用者がどの国の居住者かを判定する材料になります。Bybitの一連の案内でも、住所証明を含む本人確認の段階が居住地の確定と結びついていました。
ここで気をつけたいのは、居住地の判定を避けるために事実と異なる情報を申告する、といった行為は決して取るべきではないという点です。虚偽の申告は利用規約違反にあたり、口座の凍結や出金停止につながるおそれがあります。資産を守るどころか、取り出せなくなるリスクを自ら高める行為です。
- 居住地や本人情報を偽って申告する
- 他人名義の口座を使う、または自分の口座を他人に使わせる
- 規制を回避する目的で第三者を経由させる
いずれも規約違反や法令違反につながる可能性があり、結果として資産にアクセスできなくなる事態を招きかねません。
過去に大規模なハッキング被害も報じられている
もうひとつ、判断材料として押さえておきたい事実があります。2025年2月、Bybitから約15億ドル相当とされるイーサリアムなどが不正に流出する事件が発生しました。暗号資産の分野では過去最大級の規模として報じられ、北朝鮮に関係するとされるハッカー集団の関与が指摘されています。
この事件でBybit自身が利用者への対応を行ったと報じられていますが、大規模な流出が現実に起こり得るという事実は、取引所に資産を預けることのリスクを考えるうえで軽視できません。国内の登録業者であれば、分別管理やコールドウォレット保管などについて法令にもとづく体制が求められますが、無登録業者に同じ枠組みは及びません。
資産の一部を自分で管理するウォレットに移す場合は、リカバリーフレーズを紙に控えたうえで、火災や水害に強い場所に保管する方法もあります。
すでに口座を持っている方が確認すべきこと
過去にBybitの口座を開設していた日本居住者の方は、まず現在の口座の状態を確認してください。記事執筆時点では、日本居住者の口座は新規のポジション構築や追加ができない状態とされ、BTC・ETH・USDCへの変換と、暗号資産や法定通貨の出金といった機能に限定されていると案内されています。
- 公式サイトやアプリにログインし、現在の口座ステータスを確認する
- 残高がある場合、出金可能な資産と方法を確認する
- 出金先となる自分名義のウォレットや国内取引所の口座を用意する
- 送付先のアドレスとネットワークを慎重に確認する
- 取引履歴をダウンロードして手元に保存する
公式からの案内は変更される可能性があります。最新の条件や期限は、必ずBybitの公式アナウンスで直接確認してください。掲示板やSNSの伝聞ではなく、一次情報にあたることが大切です。
なお国内取引所へ送る場合は、トラベルルールへの対応状況によって受け入れの可否が変わります。送る前に、受取側の国内取引所が海外からの送付を受け付けているかを確認してください。

なぜ古い「登録方法」の記事が今も残っているのか
ここまで読んで、「そもそもどうして手順の解説がたくさん出てくるのか」と疑問に思った方もいるはずです。理由はいくつか考えられます。
方針変更より前に書かれたものが多い
海外取引所の登録手順を紹介する記事は、日本居住者が利用できた時期に書かれたものが大半です。記事が公開されたあとに前提が変わっても、内容が自動的に更新されるわけではありません。検索結果の上位に古い情報が残り続けるのは、この分野ではよくあることです。
更新日だけが新しくなっている場合がある
ページの更新日が最近になっていても、本文の中身が当時のまま、ということもあります。日付ではなく、記事の中に「いつ時点の情報か」「どこの一次情報を見たか」が書かれているかを確かめるほうが確実です。
一次情報にあたるという習慣
暗号資産の分野は制度もサービスも動きが速く、半年前の常識が通用しないことがあります。重要な判断をするときは、必ず公式の発表と金融庁の公表資料という一次情報にあたってください。解説記事は理解の助けにはなりますが、最終的な確認先にはなりません。
- いつ時点の情報かが明記されているか
- 出典として公式サイトや当局の資料が示されているか
- 登録の有無について触れているか
- リスクについても書かれているか

これから口座を開くなら
これから暗号資産の取引を始めたいという方であれば、国内で登録を受けた暗号資産交換業者を選ぶのが基本的な考え方になります。理由はシンプルで、日本の法律にもとづく利用者保護の枠組みが働くからです。
国内の登録業者には、次のような要件が課されています。
- 利用者財産と自己財産の分別管理
- 利用者の暗号資産の一定割合以上をコールドウォレットで管理すること
- 広告や勧誘に関する規制
- 当局への報告や検査への対応
登録業者かどうかは金融庁の一覧で確認できます。口座を開く前に、まずここで名前を探す——この一手間が、あとから大きな差になります。
税金についての基本
暗号資産の売却などで生じた利益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分され、給与など他の所得と合算する総合課税の対象となります。詳細は国税庁のタックスアンサーで確認できます。
「海外の取引所を使ったから申告しなくていい」ということはありません。日本の居住者であれば、国外で得た所得も課税の対象になります。取引履歴が取得できなくなる前に、記録を手元に保存しておくことが実務的にはとても重要です。損益計算の方法や申告の要否について迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
損益計算の考え方を事前に確認しておきたい場合は、仮想通貨の税金を扱った本も参考になります。
よくある質問(Q&A)
Q. 日本に住んでいても登録できる方法はある?
A. 日本居住者向けの新規口座開設は停止されています。居住地を偽って登録するような行為は規約違反にあたり、口座凍結や出金停止のリスクを高めます。取るべき選択肢ではありません。
Q. 海外に住んでいる場合は?
A. 居住している国や地域の法規制に従うことになります。国によって暗号資産の取り扱いは大きく異なるため、現地のルールを確認してください。この記事は日本に住んでいる方を前提とした内容です。
Q. 昔つくった口座が残っているかもしれない
A. ログインして状態を確認してください。残高があるなら、出金の可否と期限を公式の案内で確かめ、早めに対応するのが安全です。
Q. 出金できなくなることはある?
A. サービス終了の過程では、機能や期限が段階的に変更されてきました。今後も条件が変わる可能性があるため、資産を残したまま様子を見るのはリスクを伴います。
Q. 国内の取引所と何がそんなに違うの?
A. いちばん大きいのは、日本の法令にもとづく監督と利用者保護の枠組みが及ぶかどうかです。分別管理やコールドウォレットでの保管、広告規制など、登録業者には具体的な義務が課されています。
Q. 取扱銘柄が多い海外取引所を使いたい
A. 気持ちはわかりますが、銘柄の多さと引き換えに何を手放すことになるのかを冷静に見てください。国内でも取扱銘柄を増やしている登録業者があります。暗号資産の自主規制団体であるJVCEAの会員一覧なども、業者を確認する手がかりになります。
まとめ
- Bybitは日本の暗号資産交換業者として金融庁の登録を受けていない
- 金融庁は無登録での業務について、これまで3度警告を発出している
- 日本居住者向けの新規口座開設の受付はすでに停止されている
- 日本居住者の既存口座は段階的に機能が制限されてきた
- 居住地を偽る申告は規約違反にあたり、資産を取り出せなくなるリスクがある
- 口座が残っている方は、公式の案内で状態と期限を確認すること
- これから始めるなら、金融庁の登録一覧に掲載された国内業者を選ぶのが基本
「登録方法」を探していた方にとっては、期待していた内容と違ったかもしれません。ただ、手順どおりに進めた先で口座が使えなかったり、資産が取り出せなくなったりするほうが、はるかに大きな損失です。前提が変わっていることを知ったうえで、次の一手を考えていただければと思います。
暗号資産は価格変動が大きく、投資は自己責任です。生活資金ではなく余剰資金の範囲で行い、規制やサービスの最新情報は各社の公式発表と金融庁の公表資料で確認してください。

※記事執筆時点の情報です。規制やサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトおよび金融庁の公表資料でご確認ください。


