「bitbankは板取引が安いと聞いたけれど、あの数字の羅列をどう読めばいいのかわからない」——仮想通貨を始めたばかりの方から、いちばんよく聞く悩みのひとつです。
板取引は最初こそ難しく見えますが、覚えることはそれほど多くありません。そしてbitbankの取引所(板取引)は、BTC/JPYを除く通貨ペアでメイカー注文にマイナス手数料が適用される点が大きな特徴です。売買のたびに手数料を払うどころか、条件を満たせば逆に受け取れる仕組みになっています。ただしBTC/JPYについては2026年2月2日に手数料が改定され、このマイナス手数料は終了しました。ここは分けて覚えておく必要があります。
この記事では、板の読み方から注文の種類、実際の操作手順、手数料の考え方、そして初心者が引っかかりやすいポイントまでを順を追って整理しました。読み終えるころには、販売所しか使っていなかった方でも板の前で迷わなくなるはずです。

そもそも板取引とは何か
販売所と取引所の違い
仮想通貨の買い方には大きく2種類あります。
- 販売所:取引所を相手に、提示された価格で売買する。操作は簡単だが、売値と買値の差(スプレッド)が実質的なコストになる
- 取引所(板取引):利用者同士が価格と数量を出し合い、条件が合ったところで売買が成立する
同じ銘柄を同じ量だけ買っても、販売所と板取引ではコストがはっきり変わってきます。少しでも有利に売買したいなら、板取引の操作を覚えておく価値は十分にあります。
板の見方
板は上下2つのブロックに分かれています。
- 上(売り板):「この価格で売りたい」という注文が並ぶ。下にいくほど安い
- 下(買い板):「この価格で買いたい」という注文が並ぶ。上にいくほど高い
この2つの境目が、いま売買が成立しかけている価格帯です。売り板のいちばん安い価格と、買い板のいちばん高い価格の差が小さいほど、その銘柄は取引が活発だといえます。
各行には「価格」と「数量」が並びます。ある価格に大きな数量が積まれていれば、そこで値動きが止まりやすい、という読み方もできます。
板取引を含めた仮想通貨の基本を体系的に確認したい場合は、入門書を一冊手元に置いておくと便利です。
メイカーとテイカーを理解する
板取引を語るうえで避けて通れないのが、この2つの言葉です。
- メイカー(Maker):板に新しく注文を並べて、取引の場に厚みをつくる側
- テイカー(Taker):すでに板に並んでいる注文を取っていく側
取引所からすると、板に注文を並べてくれるメイカーは「売買が成立しやすい環境をつくってくれる存在」です。そのためbitbankでは、BTC/JPYを除く通貨ペアで、メイカー注文に対して約定金額の0.02%が報奨金として支払われるマイナス手数料が採用されています。これらのペアのテイカー注文には0.12%の手数料がかかります。
ここで必ず押さえておきたいのが、BTC/JPYだけ扱いが違うという点です。bitbankは2026年2月2日にBTC/JPYの取引所手数料を改定し、メイカー0%・テイカー0.1%となって、メイカーのマイナス手数料(報奨金)は終了しました。この改定は現物取引と信用取引の両方に適用され、BTC/JPY以外の通貨ペアはこれまでどおりです。初心者が最初に触れるのはBTC/JPYであることが多いので、「bitbankなら指値を置くだけで報奨金がもらえる」と書かれた古い解説を、そのまま受け取らないようにしてください。
とはいえ、成行注文でぱっと買うとコストが発生し、指値注文を板に置いて待てばコストを抑えられる、という関係そのものは変わりません。ここを理解しているかどうかで、長期的なコストは大きく変わってきます。
| 項目 | 手数料(記事執筆時点) |
|---|---|
| 取引所・メイカー(BTC/JPY以外) | -0.02%(報奨金として受け取れる) |
| 取引所・テイカー(BTC/JPY以外) | 0.12% |
| 取引所・メイカー(BTC/JPY) | 0%(2026年2月2日改定。報奨金は終了) |
| 取引所・テイカー(BTC/JPY) | 0.1%(2026年2月2日改定) |
| 販売所 | スプレッドが実質的なコスト |
| 日本円の出金(3万円未満) | 550円 |
| 日本円の出金(3万円以上) | 770円 |
手数料は改定される可能性があります。取引の前にbitbank公式サイトで最新の料率を確認してください。

注文方法の種類
成行注文
数量だけを指定して、いまの板にある価格ですぐに成立させる注文です。買い注文なら売り板のいちばん安い価格から順に、売り注文なら買い板のいちばん高い価格から順に約定していきます。
すぐ売買したいときには便利ですが、価格を選べません。板が薄いときに大きな数量を成行で出すと、想定より不利な価格まで約定が伸びることがあります。またテイカーになるため手数料もかかります。
指値注文
価格と数量を指定する注文です。買いなら指定した価格かそれより低い価格で、売りなら指定した価格かそれより高い価格で約定します。相場が指定価格に届かなければ成立しません。
板に並んで待つ形になるためメイカーになりやすく、手数料の面で有利です。板取引の基本はこの指値注文だと考えて差し支えありません。
逆指値(トリガー)注文
「価格が指定したラインに達したら注文を出す」という予約型の注文です。損切りラインをあらかじめ置いておく用途によく使われます。仕事中や就寝中に相場が急変しても、機械的に対応できるのが利点です。
- 成行:今すぐ売買を成立させたいとき
- 指値:コストを抑えたいとき、価格にこだわりたいとき(基本はこれ)
- 逆指値:損失の拡大を抑える仕組みをあらかじめ用意しておきたいとき
実際の操作手順
STEP1:口座開設と日本円の入金
まずbitbankの口座を開設し、本人確認を完了させます。そのうえで日本円を入金します。入金が反映されるまでは注文が出せません。
STEP2:取引画面で銘柄を選ぶ
取引画面を開き、売買したい通貨ペア(BTC/JPYなど)を選択します。ここで「販売所」ではなく「取引所」の画面になっていることを確認してください。画面を間違えると、板取引のつもりが販売所で買ってしまい、コストが変わってしまいます。
STEP3:注文タイプを選んで入力する
「成行」「指値」「逆指値」から選び、数量(と指値なら価格)を入力します。板の価格をタップすると価格欄に自動入力されるので、慣れると素早く操作できます。
STEP4:注文内容を確認して発注
数量の桁と価格の桁を必ず確認してから発注してください。桁を1つ間違えるだけで金額が10倍変わります。ここは急がず、指差し確認くらいの気持ちで見るのが安全です。
STEP5:約定と注文の管理
指値注文はすぐに約定するとは限りません。注文一覧で状況を確認し、相場の前提が変わったと感じたらキャンセルして出し直します。放置した注文が忘れたころに約定する事態を避けるため、定期的な確認を習慣にしましょう。


実際の取引で意識したいこと
注文を出す前に「やめる場所」を決めておく
板取引では価格を自分で決められる分だけ、「もう少し待てば下がるかも」と考え続けて判断が遅れることがあります。買う前に「ここまで下がったら手仕舞い」というラインを決めておくだけで、相場が動いたときの迷いが減ります。逆指値注文を使えば、そのルールを機械的に実行できます。
時間帯によって板の厚みは変わる
暗号資産の市場は24時間動いていますが、取引が活発な時間帯と静かな時間帯があります。板が薄い時間帯は少しの注文で価格が大きく動くことがあり、意図しない価格で約定するリスクが高まります。まとまった数量を動かすときは、板の厚みを確認してから注文を出すようにしましょう。
約定履歴をあとから見返す
取引を重ねたら、自分の約定履歴を見返す習慣をつけてください。どんな場面で成行を使ってしまったのか、指値が約定しなかったのはなぜか。自分のクセは履歴にはっきり出ますので、改善のヒントが見つかります。年間の損益計算にも必要になるので、取引履歴は定期的にダウンロードして保存しておくと安心です。
注文を出した理由や結果を手元に書き残しておきたい場合は、投資記録用のノートを使う方法もあります。
セキュリティの基本を整える
板取引に慣れてくると、口座に置く資金も増えていきます。二段階認証を有効にする、パスワードを使い回さない、フィッシングメールのリンクからログインしない——この3つは最低限守りたいところです。
現物の板取引と信用取引は別物
bitbankには現物の板取引のほかに、証拠金を預けて取引する信用取引があります。この2つを混同しないことが大切です。
bitbankの信用取引は2024年11月に提供が始まりました。当初はビットコイン、イーサリアム、XRPの3銘柄から始まり、その後対象銘柄が広がっています。レバレッジ倍率は個人の場合2倍が上限で、これは国内の暗号資産関連のレバレッジ取引に共通する制限です。
信用取引は、預けた証拠金を超える損失が生じる可能性があります。相場が急変すればロスカットが想定どおりに機能しないこともあり、現物取引とはリスクの性質がまったく異なります。板取引の操作に慣れるまでは、現物だけで取引することをおすすめします。
初心者がつまずきやすいポイント
取引所と販売所の画面を取り違える
いちばん多い失敗です。アプリの初期画面が販売所になっている場合、そのまま買ってしまうケースが後を絶ちません。取引のたびに画面上部の表示を確認しましょう。
指値が約定せずに機会を逃す
手数料を惜しんで指値を置いたものの、相場が伸びていって結局買えなかった、というのはよくある話です。手数料の差は0.1%台、値動きは日によって数%動くこともあるので、どうしても買いたい場面では成行を選ぶ判断も必要です。
板が薄い銘柄で大きな注文を出す
取引が少ない銘柄では、成行注文が板を突き抜けて不利な価格で約定することがあります。数量を分けて出す、指値で待つといった工夫が有効です。
送金先の制約を知らない
暗号資産を他社に送る場合、トラベルルールへの対応状況によって送付できる相手が限られます。国内では通知システムが複数併存しており、記事執筆時点でbitbankとGMOコインは「Sygna」、コインチェックとbitFlyerは「TRUST」を採用しています。採用システムが異なる取引所同士では直接送付できない場合があるため、送る前に公式の対応一覧を確認してください。
よくある質問(Q&A)
Q. メイカー手数料がマイナスなら、往復させれば得をする?
A. 現実的ではありません。買いと売りの両方をメイカーで成立させる必要があり、そのあいだに価格が動けば報奨金以上の損益が発生します。そもそもBTC/JPYは2026年2月2日の改定でメイカーが0%となり、報奨金の対象から外れました。マイナス手数料はあくまで「コストを抑える仕組み」と考えるのが健全です。
Q. 少額でも板取引はできる?
A. 銘柄ごとに最小注文数量が決まっており、その範囲であれば少額から取引できます。まずは小さな金額で操作の流れを一通り試してみましょう。
Q. 指値注文に期限はある?
A. 注文はキャンセルするまで有効に残ります。相場の状況が変わったのに古い注文が残っていないか、こまめに確認する習慣をつけてください。
Q. アプリとパソコン、どちらが使いやすい?
A. 外出先での確認はアプリが便利ですが、板とチャートを同時に見ながらじっくり注文するならパソコンのほうが扱いやすいでしょう。用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
ノートパソコンで板とチャートを並べて表示したい場合は、モバイルモニターで画面を広げる方法もあります。
Q. bitbankは金融庁に登録された業者?
A. はい。bitbankは暗号資産交換業者として登録されています。登録業者かどうかは金融庁が公表している暗号資産交換業者登録一覧で確認できます。取引所を選ぶときの最初のチェック項目にしておきましょう。
Q. 板取引で利益が出たら税金は?
A. 暗号資産の売却などで生じた利益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分され、他の所得と合算する総合課税の対象です。詳細は国税庁のタックスアンサーを確認してください。
まとめ
- 板は「みんなの希望価格の一覧表」。上が売り、下が買い
- bitbankの取引所はメイカー-0.02%、テイカー0.12%。ただしBTC/JPYは2026年2月2日の改定でメイカー0%・テイカー0.1%になり、報奨金は終了(記事執筆時点)
- 基本は指値注文。急ぐ場面だけ成行を使う
- 逆指値は損失の拡大を抑える仕組みとして活用できる
- 現物の板取引と信用取引はまったく別のサービス
- 販売所と取引所の画面の取り違えに注意
板取引は、最初のハードルさえ越えてしまえば操作自体は単純です。むしろ「価格を自分で決められる」ぶん、販売所より納得感のある売買ができます。まずは少額の指値注文を1回通してみるところから始めてみてください。
暗号資産は価格変動が大きく、投資は自己責任です。生活資金ではなく余剰資金の範囲で行い、手数料やサービス内容の最新情報は各公式サイトと金融庁の案内で確認してください。

※記事執筆時点の情報です。手数料やサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。


